ビジネス【事業継承】

事業継承では 、表面だけを見て受け止めがちです

特に先代がやり手だった場合、後継者は自分の能力と比較して、劣等感を持ち、やる気を出せないでいる場合があります。

先代は、社員を叱咤激励しながら、先頭に立って会社をリ ードしていくタイプで、荒波も乗り越えてきている。

でも、自分はどちらかというとおっとり型で、社員とともに歩んでいくタイプ。

先代のようなスピ ード、バイタリティ、自信もなく、どうしたら良いか分からないというような例は、実は案外多いのです。

このような状況の時こそ、すべての状況をダイヤモンドとして受け止めて、その奥に隠された本質を見るのです。

先代とは違う性質を持っている自分が、先代のカラ ーになることが目的なのか。

会社を末長く存続させることで、お客様に貢献することが目的なのか。

会社経営が順調に運んできた先代が現役でいる場合、後継者にも同じような方法を強要している場合があります。

後継者側も、それを踏襲することが役目だと思っているケ ースが多く見受けられます。

周囲の人も、目に見える部分で評価したり、その人の価値観で発言したりするので、ますます惑わされることになることもあるでしょう。

でもそれは、浅い部分での捉え方です。

形の継承ではなく、ダイヤモンドを発見した上で先代の魂を継承していくのです

自分が継いだとしたら、いつかまた次の後継者へと引き継いでいく可能性は高いでしょう。

その時に、次の後継者は自分とはやはり性質が違うかもしれません。

彼らに、自分と同じように悩む状況を与えたいと思うでしょうか。

形や表面に見えるものだけを重んじていては、悩む状況が続いていくことになります。

だから、形の継承ではなく、ダイヤモンドを発見した上で先代の魂を継承していくのです。

そこに意識を向けたら、必ず、ダイヤモンドを見つけることができます。

たとえ、それが小さな針の穴ほどの大きさであっても、その小さな光に焦点を当てていくと 、それは段々と大きくなっていきます。

何か見つかるかは人それぞれです。

そして、真理に目を向けてそれを認めた時に、現象面で思いもよらなかった変化が訪れます。

これは、頭であれこれ考えているうちは、絶対にわからない世界です。

ダイヤモンドを発見すれば、先代と比較して能力を発揮できないという事態も解消されるでしょう。

性格や能力を継承されるのではなく、受け取るバトンは「魂」だという観点で見るのです。

そのことができれば、両者を生かしながら、世界でたった一人しかいない自分の個性を思う存分発揮して、喜びとともに事業に打ち込むことができるでしょう。

「私には子供がいないから後継者はいない」という方がいるかも知れませんが、それは違います。

私が言っている「魂の継承」はただ単に親子関係のことだけを指しているのではありません。

血縁以外の継承も、先代が築いてきた「魂」を継承していくことに何ら変わりはありません。

世の中には立派な企業がたくさんあります。

社員全員が後継者であるとも言えます

創業者や先代のおもいは、次の後継者である社員によって永遠に受け継がれていくのです。

「創業者はどのような思いで商品やサービスを世の中に表し、提供しようとしたのか」

「理念としている掲げられている言葉の本当の意味は何か」

それらを分かって継承していくのが、事業という名のもとに行われていく継承です。

「法人」と言われるように、会社も社会の中では一つの人格といってよい位置があります。

そのように考えると、社員全員が後継者であるとも言えます。

時代の流れとともに、商品の姿形は変わるかもしれません。

しかし、創業者や先代のおもいは、次の後継者である社員によって永遠に受け継がれていくのです。

さらに後継者は社員だけではなく、お客様も後継者です。

目に見えない魂は、商品となり、サービスとなり、社員の言葉になりあらゆるものに姿を変えて、お客様、社会、人類に届いていきます。

電話対応一つにしても、先代の思いが継承されますので、後継者はそれだけのものを受け継ぐということです。

出典:「世界初 究極の継承」佐藤康行